軌道って何?
今回は軌道について一緒に学んでいきましょう。
大学の化学系の授業で、いきなり軌道の話が出てきますよね。
私も大学1年生の頃、軌道の考え方に納得が行かず、モヤモヤしたまま授業を聞いていた覚えがあります。
だって高校化学では、電子はK殻に2個、L殻に8個、M殻に18個・・・と収容されていって、最大電子数の一般式は2n2が絶対的な常識でしたし、
図を図1に示しました。
同じみですよね。
この高校までの考え方も、嘘ではないのですが厳密ではないということです。
より厳密に電子の状態を考えるために「軌道」と言う概念を用います。
軌道の概念を導入することで何が厳密に扱えるかと言うと、
電子の「位置」です。
この時、注意が必要なのですが、電子のようなミクロな物を考える時、古典力学 (いわゆる高校物理の力学) の運動方程式が成り立たないため、電子の位置を特定することができません (高校物理の原子分野で少し説明があります)。
そのような電子の性質から、軌道を用いて電子がこのあたりにいるという電子の存在する「存在範囲」を用いて電子の位置を考えます。
代表的な軌道は、図2に示すs軌道、p軌道です。
色づいている部分が、電子が存在し得る範囲です。p軌道はpx, py, pzの3つの軌道が存在します。p軌道は原点を境に色が異なりますが、これは原点での電子密度が0であることを表しており、この点を「節」といいます。
また、一つの軌道に対し2つの電子を収容することができます。(p軌道だったらpx, py, pzのそれぞれで2つずつ)
最後に電子殻と軌道の対応について図3で確認しましょう。
縦の矢印はエネルギー準位を表しています。上に行くほどエネルギーが高く、エネルギーが低い下の軌道から順々に電子が収容されていきます。上向きと下向きの矢印は、電子ひとつひとつを表し、「スピン」と呼ばれます。矢印の向きには意味があるのですが今回は省略します。
図からわかるように、最大収容電子数がK殻に2個、L殻に8個になります。そして、M殻では18個となり、この時電子を10個収容しているのがd軌道です。そのためd軌道は5つの軌道の形があることがわかります。
まとめです。
軌道は、電子の状態をより厳密に考えるための概念であり、電子の存在範囲を表している。
今回は以上です。
最後まで読んでくださりありがとうございます。