軌道を用いた共有結合の記述

前回軌道について扱いましたが、今回は軌道を使ってどのように共有結合を表すのかについて勉強していきましょう。

 

まず復習ですが、共有結合がどういうものだったかというと互いの原子が同じ数ずつ電子を出し合って電子対を作り、共有することで結ぶつく結合でした。水素分子を例に、図で表すと図1です。

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図1. 高校化学までの共有結合の表し方

さて、軌道を用いた共有結合の記述には、原子価結合法と分子軌道法の2種類の考え方があります。

どちらもとても重要な考え方ですが、区別がつけにくく、それぞれの考え方を混同しやすいです。

 

なので表1にまとめてみました。

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表1. 原子価結合法と分子軌道法の違い


図2次に、原子価結合法と分子軌道法の水素分子の例を図2、図3にそれぞれ示します。

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図2. 原子価結合法による水素分子

 

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図3. 分子軌道法による水素分子

図2の原子価結合法は、1s電子が1個ずつ入った2つの軌道が重なり合ってH-H結合を形成すると考えます。一方図3の分子軌道は、分子になることで形成される1s軌道よりもエネルギーが低い(安定な)結合性軌道と、1s軌道よりもエネルギーが高い(不安定な)反結合性軌道の2つの軌道を考えます。そのうちより安定な結合性軌道に電子が2つ入るという考え方です。

 

水素分子を例で示したものの、水素分子は単純な分子なため、あまり違いは無いように思えるかもしれないのですが、複雑な分子になるほど差は顕著になります。

 

締め

共有結合を記述するための考え方は原子価結合法と分子軌道法がある。

原子価結合法は、電子が入った軌道が互いに重なり合うことで結合が形成される、という考え方。

分子軌道法は、エネルギーが低い結合性軌道とエネルギーが高い反結合性軌道を考える方法である。

 

今回は以上です。

最後まで読んでくださりありがとうございます。