共鳴構造
Hirokikiです。
今回は共鳴構造について学んでいきましょう。
共鳴構造は、一言で言うと電子が局所的にどの原子に存在しているのかを表した構造のことです。
酢酸イオンを用いて説明していきたいと思います。
酢酸イオンの共鳴構造を図1に示します。
共鳴は両矢印を使って表します。
(ここで「平衡」とは矢印の表記と意味が異なるので、注意です。)
図1の左と右の構造、ひっくり返せば同じ構造じゃないか?なにが違うのか?と思うかもしれません。
その疑問はある意味正しいのですが、この例が表していることは、酢酸イオンは2種類の共鳴 (極限) 構造を持つということです。
つまり、Oに負電荷を帯びているのは、極端に電荷が偏った構造を考えた仮想的な構造であり、本来はO, C, O間に負電荷が非局在化しているということです。
この電荷が局在化している、非局在化しているという考え方は高校化学では扱わないので理解しづらいかもしれませんが、重要な考え方です。
また、図1の左の構造から右の構造、もしくは右の構造から左の構造に変化する際に結合種が変化していますが、それの表し方としては「巻矢印」を使います。
図1を使うとこんな感じです。図2に示します。
巻矢印を文字で説明しにくいのですが、一つの矢印で2電子の移動を表現しています。
図2の左の酢酸イオンだと、初めに下のOの非共有電子対 (電子が2個) は3つありますが、その内一つの非共有電子対が単結合のところに降りて、二重結合を形成します。
次に、中央のCは4本の結合しか作れないので、電子が押し上げられるように、上のOとの二重結合を解消して単結合になり、余った電子対はOに乗って、Oは形式電荷として負の電荷を帯びます。
この、電荷が非局在化していることを図3のように表したりもします。
図3の点線が、O, C, O間で電子が非局在化していることを表しています。
最後に、分子中の電子の局在化、非局在化を3次元で表すとどうなるのかについて触れます。
それが静電ポテンシャルマップといわれるものです。
図4に酢酸の例を示します。
(本当はここで、酢酸イオンの電子の非局在化を示したかったのですが、フリーソフトだと正しく描写できず、やむなく酢酸としました。申し訳ありません。)
図4は各原子軌道を重ね合わせた混成軌道を表しています。
見方としては、赤に近い色程、その原子上に電子が多く存在していることを表し、紫に近い色程電子が存在しないことを表しています。
つまり図4で言えば、Oに電子が多く存在し、HやCにはあまり電子が存在していないことがわかります。
まとめ
共鳴構造は、電子の局在化を表した構造である。
今回は以上です。
最後まで読んでくださりありがとうございます。