シュレディンガー(Schrödinger)方程式の導出④

Schrödinger方程式の導出の続きです。

(式番号は前回の記事での番号を引き継いでいます)

 

前回の記事はこちらのURLです。

 

hashiwatashi.hatenadiary.jp

 

hashiwatashi.hatenadiary.jp

 

前回の記事から波動性を表す方程式の導出を行い、その続きの記事になります。導出を目指している波の方程式は式(3)です。

 

\Large\dfrac{d^2X(x)}{dx^2}+\dfrac{4\pi^2}{\lambda^2}=0\tag{3}

 

全体の手順はこちらです。

1. 波動方程式より波の変位式が解となることを確認
2. 波動方程式の位置と時間に関しての変数分離
3. 波動方程式の位置に関する微分方程式の係数の算出

 

この記事では手順3に取り組みます。

 

前回の記事で、波の微分方程式を位置xと時間tの2本の微分方程式だということを導出しました。

 \Large{\dfrac{\partial^2X(x)}{\partial x^2}+KX(x)} = \Large{0}\tag{14}

 

\Large{\dfrac{\partial^2T(t)}{\partial t^2}+Kv^2T(t)} = \Large{0}\tag{15}

 

次に、波の一般式(t=0)を示します。

 

\Large{y} = -\Large{A}sin(\dfrac{2\pi}{\lambda}x)\tag{16}

 

ここで、式16を式14に代入します。この時、yX(x)と考えます。

そうすると、 

 

\Large{\dfrac{\partial^2X(x)}{\partial x^2}+KX(x)} = \Large{(\dfrac{4\pi^2}{\lambda^2}-K)}\Large{A}sin(\dfrac{2\pi}{\lambda}x)\tag{17}

 

式17より、式18の時に右辺は0となります。

\Large{K}=\Large\dfrac{4\pi^2}{\lambda^2}\tag{18}

このことから、式18が解になります。

 

この結果をまとめると、位置xに関する波の微分方程式は式3となり、導出が完了しました。

 

\Large\dfrac{d^2X(x)}{dx^2}+\dfrac{4\pi^2}{\lambda^2}\Large{X(x)}=0\tag{3}

 

次の記事でシュレディンガー方程式の導出が完成します。

やっとです。

 

今回はここまでです。

お疲れ様でした。

 

[参考文献]

これからはじめる量子化学―物理・数学のキホンからよくわかる! ―

これからはじめる量子化学―物理・数学のキホンからよくわかる! ―

  • 作者:辻 和秀
  • 発売日: 2013/08/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

シュレディンガー(Schrödinger)方程式の導出③

Hirokikiです。

Schrödinger方程式の導出の続きです。

前回の記事はこちらのURLです。

hashiwatashi.hatenadiary.jp

hashiwatashi.hatenadiary.jp

前回は、波動方程式の解が波の変位式であることを確認を行いました。

式番号は前回の記事での番号を引き継いでいます。

この記事では式(3)を導出するために手順2に取り組みます。

\Large\dfrac{d^2X(x)}{dx^2}+\dfrac{4\pi^2}{\lambda^2}=0\tag{3}

全体の手順はこちらです。


1. 波動方程式より波の変位式が解となることを確認 \\
2. 波動方程式の位置と時間に関しての変数分離 \\
3. 波動方程式の位置に関する微分方程式の係数の算出

では始めましょう。


2. 波動方程式の位置と時間に関しての変数分離 \\

前回の記事(シュレディンガー(Schrödinger)方程式の導出②)にもある通り、 波の変位式である式(7)は位置xと時間tに関する式です。

\Large{y}=A\sin\{2\pi(\dfrac{t}{T}-\dfrac{x}{\lambda})\}\tag{7}

そのため、式(6)の微分方程式を解く際に変数分離という方法を使います。

\Large\dfrac{\partial^2y}{\partial x^2}=\dfrac{1}{v^2}\dfrac{\partial^2y}{\partial t^2}\tag{6}

つまり式(7)の変位yは、位置xと時間tの関数なのでy(x,t)と表し、 xだけの関数X(x)T(t)だけの関数の積で表されると考えます。

\Large{y(x,t)}=X(x)T(t)\tag{11}

式(11)を式(6)の両辺に代入します。

代入後、左辺ではT(t)が、右辺ではX(x)が各辺での演算子に依存しないため、 演算子の前に出します。次に両辺をX(x)T(t)で割り、左辺はxのみに関する式、右辺はt のみに関する式とします。


\begin{aligned}
\Large{\frac{\partial^2}{\partial x^2}\{X(x)T(t)\}}& =\Large{\dfrac{1}{v^2}\dfrac{\partial^2}{\partial t^2}\{X(x)T(t)\}} \\
\Large{T(t)\frac{\partial^2}{\partial x^2}X(x)}& =\Large{X(x)\dfrac{1}{v^2}\dfrac{\partial^2}{\partial t^2}T(t)} \\
\Large{\frac{1}{X(x)}\frac{\partial^2}{\partial x^2}X(x)}& =\Large{\dfrac{1}{v^2}\frac{1}{T(t)}\dfrac{\partial^2}{\partial t^2}T(t)} \\  
\end{aligned}\tag{12}

式(12)のように全く別の変数で決まる値が常に等しくなるには、両辺の値が定数である必要があります。そこで両辺の値を-Kとします。マイナスの符号は、項を移行した時に式が綺麗になるためです。


\begin{aligned}
\Large{\frac{1}{X(x)}\frac{\partial^2}{\partial x^2}X(x)}& =\Large{\dfrac{1}{v^2}\frac{1}{T(t)}\dfrac{\partial^2}{\partial t^2}T(t)} \\
& = \Large{-K}
\end{aligned}\tag{13}

式(14), 式(15)より、xのみに関する微分方程式tのみに関する微分方程式になることがわかります。


\begin{aligned}
\Large{\frac{\partial^2X(x)}{\partial x^2}+KX(x)}& = \Large{0}
\end{aligned}\tag{14}

\begin{aligned}
\Large{\frac{\partial^2T(t)}{\partial t^2}+Kv^2T(t)}& = \Large{0}
\end{aligned}\tag{15}

手順3は次の記事でまとめます。

今回はここまでです。

お疲れ様でした。

[参考文献]

これからはじめる量子化学―物理・数学のキホンからよくわかる! ―

これからはじめる量子化学―物理・数学のキホンからよくわかる! ―

  • 作者:辻 和秀
  • 発売日: 2013/08/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

シュレディンガー(Schrödinger)方程式の導出②

Hirokikiです。

Schrödinger方程式の導出の続きです。

前回の記事はこちらのURLです。

hashiwatashi.hatenadiary.jp

前回は、粒子性を表す方程式の導出を行いました。

式番号は前回の記事での番号を引き継いでいます。

この記事から波動性を表す方程式の導出を行います。導出する方程式は式(3)です。

\Large\dfrac{d^2X(x)}{dx^2}+\dfrac{4\pi^2}{\lambda^2}=0\tag{3}

式(3)を導出するための手順をまとめておきます。


1. 波動方程式より波の変位式が解となることを確認 \\
2. 波動方程式の位置と時間に関しての変数分離 \\
3. 波動方程式の位置に関する微分方程式の係数の算出

では順番にいきましょう。


1. 波動方程式より波の変位式が解となることを確認

波動方程式は、波の運動を記述する運動方程式で、式(6)のように表されます。

\Large\dfrac{\partial^2y}{\partial x^2}=\dfrac{1}{v^2}\dfrac{\partial^2y}{\partial t^2}\tag{6}

一方、代表的な波の変位式は、式(7)のように表されます。

\Large{y}=A\sin\{2\pi(\dfrac{t}{T}-\dfrac{x}{\lambda})\}\tag{7}

式(7)は位置xと時間tに関する式です。

式(6)の波動方程式の解が式(7)の波の変位式であることを確認するために、式(6)の両辺にそれぞれ式(7)を代入して確認します。

ではまず式(6)の左辺からです。


\begin{aligned}
\Large{\frac{\partial^2 y}{\partial x^2}}& = \Large{\frac{\partial^2}{\partial x^2} A\sin\{2\pi(\dfrac{t}{T}-\dfrac{x}{\lambda})\}} \\
                                                                & = \Large{\frac{2\pi}{\lambda}\frac{\partial}{\partial x} A\cos\{2\pi(\dfrac{t}{T}-\dfrac{x}{\lambda})\}} \\
                                                                & = \Large{-\frac{(2\pi)^2}{\lambda^2} A\sin\{2\pi(\dfrac{t}{T}-\dfrac{x}{\lambda})\}} \\
\end{aligned}\tag{8}

次に式(6)の右辺です。


\begin{aligned}
\Large{\frac{1}{v^2}\frac{\partial^2 y}{\partial t^2}} & = \Large{\frac{1}{v^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2} A\sin\{2\pi(\dfrac{t}{T}-\dfrac{x}{\lambda})\}} \\
                                                                & = \Large{\frac{1}{v^2}\frac{2\pi}{T}\frac{\partial}{\partial t} A\cos\{2\pi(\dfrac{t}{T}-\dfrac{x}{\lambda})\}} \\
                                                                & = \Large{-\frac{1}{v^2}\frac{(2\pi)^2}{T^2} A\sin\{2\pi(\dfrac{t}{T}-\dfrac{x}{\lambda})\}} \\
                   & = \Large{-\frac{1}{(\frac{\lambda}{T})^2}\frac{(2\pi)^2}{T^2} A\sin\{2\pi(\dfrac{t}{T}-\dfrac{x}{\lambda})\}} \\
                                                                & = \Large{-\frac{(2\pi)^2}{\lambda^2} A\sin\{2\pi(\dfrac{t}{T}-\dfrac{x}{\lambda})\}} \\
\end{aligned}\tag{9}

ここで式(9)のvは、式(10)に変形したものを代入しました。


\begin{aligned}
\Large{v} & = \Large{f\lambda} \\
                & = \Large{\frac{\lambda}{T}} 
\end{aligned}\tag{10}

式(8)と式(9)は等しくなることから、、式(7)の基本的な波の変位式であるが式(6)の波動方程式の解であることが確認できました。

2と3は次の記事でまとめます。

今回はここまでです。

お疲れ様でした。

[参考文献]

これからはじめる量子化学―物理・数学のキホンからよくわかる! ―

これからはじめる量子化学―物理・数学のキホンからよくわかる! ―